習い事は、やめたいなら、やめていい!
「やめたいならやめてもいいよ」と言おう
英語を続けていると絶対に一回は突き当たる問題。それは、子どもが「英語やめたい」と言い出すこと。
たいていの親は、
「せっかく続けてきたんだから頑張ろうよ。」とか、
「やめたら将来困るよ。」とか、
何とか励ましたり、脅したり(笑)、たまに物で釣ったり(笑)して、続けることを勧めると思います。
でも、(まず話を聞いてやった上でですが、)一人の英語の先生として、私は「やめたいなら、やめてもいいよ。」と言ってやってほしいし、
一人の母親としても、自分の子どもたちには「やめてもいいよ。」と言える親になりたいと思うのです。
その理由は2つあります。
やめたい習い事はやめてよい理由は2つ
英語に限らず、私がやめたい習い事はやめてよいと考える理由は2つあります。
- 子どもにも、自分の人生を自分で選択する自由があるから
- 日本人は特に、子供時代に「やめる経験」がもっと必要だと考えているから
1.子どもにも、自分の人生を自分で選択する自由がある
何かをやめるというのは人生の選択肢の一つです。自分で選択させることが、子どもを成長させると考えています。
例えば英語は幼いころから習っている子もいます。はじめは保護者の意思で習い始めている場合、本人の成長とともに、本人の意思が出てくることもあります。親は子の将来のために、と思って始めたことですから、なかなか受け入れがたいのも理解できますが、教師として断言します。いやいや習わせても何もいいことはありません。
親子クラスに来ているあるお母さんは、「私も小さいとき親に英語教室行かされてたんですけどね、途中で嫌になっちゃって。あんまりいい思い出ないんですよね。」と言ってました。いやいややらされていると、大人になっても拒否反応が残ります。これを払拭するのはそれはそれは大変なことです。
もちろん中には、自分から「習い始めたい!」と言って習い始めるお子さんもいます。そういう子がやめたいと言い出した場合は、まずしっかり話を聞いてやる必要があります。もしかすると、英語そのものが嫌になったわけではなく、クラスメイトや先生と合わないとか、他の習い事が忙しく、疲れてしまっている場合も考えられます。英語以外が原因であれば、親はなるべくその原因を取り除く努力をしましょう。それでもうまくいかない時は一回やめるべきです。
どちらにしろ、子どもが自分で決めるということが大切。
そして、その選択に伴う責任は、自分で取るのだということを学ぶことが大切です。
一回やめてみると、「やめてよかった。」とか、「やめなきゃよかった。」とか、子どもなりに思うはずです。
その時にもう一度話し合うことをお勧めします。
それでやっぱりもう一度習いたいと思えるのなら、もう一回習えばいい。(前回とは習う目的や親の条件が変わってくるでしょうから、そこは十分話し合うこと)
習い事なんて、基本的にはいつ始めてもいいし、いつ辞めてもいいものなのですから。
2.日本人は特に、子供時代に「やめる経験」がもっと必要だ
これは日本人の美徳の一つかもしれませんが、とにかく辛抱強く、コツコツ努力して積み上げていくことが素晴らしいと考える人が多い。
特にスポーツを中心とした習い事は、「途中で諦めるな!」みたいな考え方が多く見受けられます。
ということは、逆に言えば、「すぐやめるのは悪いこと」ということになります。
最近過労死自殺のニュースをよく聞きますが、多くの人は、「なんでこうなる前に仕事を辞めなかったの!?」と思います。
まして外国人には理解不能。自殺するほど仕事が辛ければ、命を絶つ前に、仕事を辞めればよかったじゃないか、と。
もちろんその状況に陥れば、思考能力そのものも低下し、会社を辞めるという選択肢も見えなくなるのかもしれませんが、日本人はそれほどまでに責任感が強く、「辞めること=悪」のように感じているのかもしれません。
仕事を辞めるということは大変大きな決断かもしれませんが、その前に私たちはもっと「やめる経験」を積んでおくべきなのかもしれないと思います。特に子供時代。習い事を辞めるというのは、親にとっても子にとっても一つの難しい決断ですが、良い経験になります。
やめてみて初めて見える景色があります。やめて良かったということもたくさんあります。反対を押し切ってまでやめて、後悔することもあります。子どもながらに、自分で「やめたい」と思ってやめてみたら、その後どうだったか、考えることが、今後の人生の取捨選択についてのよいヒントになっていくはずです。
やめることは必ずしも悪ではありません。また新しいものを受け入れる余裕にもつながるのですから。やめるということにネガティブなイメージだけを植え付けるのは、親としてすべきではないと考えています。「やめること=悪」というイメージを持ち続けると、本当にやめるべき時にやめられずに苦しむ大人になりかねません。むしろ、子どもがやめる決断をしたら、一回やめてみる。やめた後にその決断を振り返り、話し合い、今後の子どもの人生の選択のヒントを一緒に探ることこそ、本当に親がすべきことではないでしょうか。