「お母さん、今日すっげー疲れた。」
「宿題が多すぎなんよ。」
「もうめっちゃくちゃいっぱい」
「みんな多いって言ってるよ」
小学生の息子と話すとこんな話が時々出てきます。
「めっちゃくちゃ多いって、何がどれだけ出たの?」と聞き返すと、
「計算ドリル2ページと、漢字プリント1枚と、音読3回と、九九1回」
「で、誰が多いって言ってたの?」と聞くと、
「AくんとBくん」(←案の定「みんな」ではない(笑))
子どもがこういう話し方をするのは、Fact(事実)とOpinion(意見・感想)を分けることができないから。
大人になってこういう話し方をする人もいますが、こういう話を鵜呑みにすると、例えば「あなたの『めっちゃいっぱい』」と「私の「めっちゃいっぱい」」が違って、後々話がずれてきたり、こんなはずじゃなかったと後悔するものです。
この勘違いを防ぐには、Opinion(意見)も聞いたうえで、Fact(事実)も確認することが大切です。
では、ママ自身、Fact(事実)とOpinion(意見)を区別する力に自信はありますか?
1.リンゴは果物です。
2.リンゴは果物の中で一番おいしい。
3.リンゴを食べると健康になる。
さて、この中で、Fact(事実)は何番でしょうか?
Fact(事実)とは「実際に起きたこと、正しいと証明されていること」子供には、「本当にあったことや、誰が見ても間違いないこと」と説明しました。
この3つの中では1がFactです。
一方で、2と3はOpinion(意見)です。「私は〇〇と思う」や、「ある研究者が、〇〇という主張をしている」というのは、意見です。2の「おいしい」は個人によって意見が異なりますし、3の「健康になる」はその定義があいまいですし、リンゴは食べないけど元気に暮らしている人もいますから、必ず正しいとは証明できません。
Fact(事実)とOpinion(意見)を区別するトレーニングは、アメリカなどでは小学校低学年から行われています。人の話を聞くとき、ニュースやSNSの投稿を読む時でも、このスキルは大切。聞いたり読んだりした文章が、事実か意見かを区別できなければ、先ほどの例のように、食い違いや勘違いが起こる原因にもなります。さらに、インターネットにあふれる情報を精査するために、情報リテラシーの観点からも、現代の子どもたちには必須スキルだと感じます。
実は、英語の文章を読んで、Fact(事実)とOpinion(意見)を選ばせる問題は、大学入学共通テストの試行調査でも2年連続で出題されています。日本人の学生にも、このスキルを身につけさせなきゃという流れになってきているのでしょう。
先日、小2の長男とFact and Opinion ゲームをやりました。ルールは簡単。親が短い文章を話し、その内容のどの部分がFact(事実)で、どの部分がOpinion(意見)かを指摘させます。
私の話は以下の通り。
「僕のランドセルは黒に青の縁取りがされている。重さは、かなり重たい。でもすっごくかっこいい!」
息子は、Fact(事実)は「黒に青の縁取り」と「重たい」、Opinion(意見)は「かっこいい」だといいました。
惜しい!実際は「重たい」はOpinion(意見)です。「重さは1.3キロ」と言えば、Fact(事実)になるけど、力持ちの大人が持つと、「軽い」と感じることもあるから、「重たい」はFact(事実)ではなく、個人的なOpinion(意見)なんだよと伝えました。
小学校低学年から、まずは日本語で、短い文章で(「聞く」より「読む」から始めがほうが易しいでしょう)Fact(事実)とOpinion(意見)を区別するトレーニングを始めることをお勧めします。自ら発信するとき(「話す」、「書く」とき)にも、Fact(事実)とOpinion(意見)の区別を意識しながらできるようになると、コミュニケーションの質が上がります。
そして、最終目標は英語でそれができること。
子どもの時から意識するだけで、将来が変わります。