先日小6男子に、授業中「先生何カップやっけ?」と真剣な顔で聞かれて、戸惑いました。
なぜ突然。。。お年頃なのか?!などドキドキ。。。
ちょうどその日は
"When do you go to school?" "I go to school at 7:30."
など、一日のスケジュールを英語で聞きあうレッスンをやっていました。
なんと、彼は「何時に起きますか?」を英語にしたくて「何カップ?」と質問していたのでした。
「何時に起きますか?」は"When do you wake up?"
その日習ったばかりの"wake up"という単語が思い出せず、語尾のカップだけが記憶にあったので、「何カップやっけ?」という質問になったのでした。ほっ。。。(笑)
それにしても興味深いのは、「先生何アップやっけ?」と聞かないところです。
おそらく文字の綴りから単語を覚えた人は、wake upと wake とupの二語で構成されているのを視覚的に記憶し、wake とupの間で 区切るのではないでしょうか?
でも彼は違いました。彼がウェイとカップで分けたのは音の区切りを無意識的に見つけることができたから。
wake upという単語は決して「ウェイクアップ」とは発音されません。子音のkと母音のuがつながって、結果的に「ウェイカップ」と発音されます。
英語は基本的に「子音・母音・子音」の組み合わせで一つの音節として区切りますから、彼がwéi・kʌ`pで発音を区切ったのは、ネイティブスピーカーと同じ発想であり、音韻的には至極まっとうな区切り方だったのです。
中学生から英語を習い始めた世代にとっては、英単語は「文字から覚える」が基本でした。wake up は「ウェイク・アップ」であると信じてその通り発音するのは当然のこと。でも残念ながらネイティブスピーカーの発音はそうではないため、
「単語は知っているのに聞き取れない!」→「リスニング苦手」
「つづりの通り発音してるのに通じない!」→「スピーキング苦手」
になってしまいます。
もちろん小6になれば、綴りから覚える子もいます。同じクラスの他の子は「あぁ、起き上がるから、upなんやな、先生」などと言っていましたから、(これはこれで素晴らしい発見!)彼は綴りから単語を記憶しているタイプなのでしょう。
正しく英語を綴れることは大切です。でもその前に「正しく(英語らしく)読める」ということが大切。
だって、「その漢字、書けるけど読めないんだよねー」なんて人がいたらびっくりしますよね?(逆はありますけど。)
書けるけど読めないなんていうのは、本来どの言語においても基本的に不自然なことであって、英語においてその逆転が起きたまま大人になっちゃうと困る。
小学生クラスでは、まず「英語の音韻のルールを体験的に学ぶ(たくさんの英語の音に慣れる)」→「ルールにのっとって発音できる」→「正しく綴れる」を目標としています。
例の小6の彼は、それができてきたんだなぁってしみじみ嬉しかったので、「何カップ?」は聞かれてとっても嬉しかった。というお話。
井本の胸のサイズは秘密ですが、その他のことはここに書いてあります。「井本先生ってどんな人?」