「英語絵本」を読んでみよう(4~6才編)
4~6才と言えば、ちょうど幼稚園や保育園に行き始める年齢。園で本を借りてくることもあるでしょう。日本語の絵本と同じように、英語の絵本も年齢にあった良質なものを選べば、子どもの心と頭の栄養になります。
この年齢はストーリーが理解できるようになり、想像力もずいぶんと育っています。集団生活が始まり、家族以外と、家以外の場所で、多くのことを経験していきます。そんな時期にぴったりの絵本とは、どんなものがあるでしょうか?
4~6才の子どもと「英語絵本」を楽しむポイント4つ
4~6才のお子さんと「英語絵本」を楽しむポイントは以下の4つです。
- 生活に密着したテーマの本を選ぶ
- 仕掛けがある本を選ぶ
- 体を動かせる本を選ぶ
- 想像力を刺激する本を選ぶ
1.生活に密着したテーマの本を選ぶ
4才以上になると、毎日の生活で自分たちがやっていることをちゃんと覚えています。
あいさつ、歯磨き、掃除、買い物、お外遊び、お風呂など。
また、徐々に一人でできる活動も増えてきます。幼稚園などの集団生活が始まればなおさら、毎日の活動が習慣化していきますね。
自分の経験を振り返りながら、絵本の内容を楽しむことができるようになるのはこのころからです。
絵本を通じて、「なぜ歯磨きするのか」といった疑問や、「お友達と仲良くしよう」というメッセージを受け取り、またそれを実生活に反映させていけると、子どもの世界はますます広がっていきます。
実生活の経験⇒絵本での疑似体験⇒実生活の活動 というサイクルが、子どもの知性と感情をより豊かにしていくのです。
そんな時期にぴったりなのが、”Brush your teeth please"(by Leslie McGuire, Jean Pidgeon)です。いわゆる仕掛け絵本で、動物の歯磨きを手伝ってやります。”Brush, brush, brush"と言いながら歯磨きすると子どもも自分から歯磨きしたくなりそうです。
お友達と一緒に遊ぶことが多くなってきたら、”I can share”(by Karen Katz) もおすすめです。砂場遊びでショベルが一つしかない。取り合いになったらどうする?といったよくある日常のシーンと、その解決策を絵本を通じて学びます。(この本のよさは、「どちらかが譲る」という解決方法が一つもないこと!日本人の親がよくやりがちな、「年上なんだから譲ってあげなさい」が出てこないのは目からうろこかもしれません。)
2.仕掛けがある本を選ぶ
このころの子どもは仕掛け絵本が大好きです。英語で読み聞かせをされても意味がわからないので、英語の本を嫌がるというお子さんもいますが、そんな場合も仕掛け絵本から入るのをおすすめします。
定番は”Go away, Big Green Monster!" (by Ed Emberley)めくっていくと、目や鼻がどんどん現れて、モンスターが出来上がります。怖いので”Go away!"と言ってページをめくれば、どんどんモンスターが消えていく絵本。ベストセラー絵本です。
動物が好きなら、”Peek-a Moo”(by Marie Torres Cimarusti, Stephanie Peterson)もおすすめです。どうぶつといないいないばあっ!をして遊ぶ絵本。英語も少ないし、セリフも繰り返しなので、何度も読むうちに覚えてしまうお子さんも多いです。
反対語を学ぶなら、”Animal Opposites" (by Petr Horacek)。動く仕掛け絵本で、どんなお子さんも夢中になること間違いなしです。
3.体を動かせる本を選ぶ
4~6才は体の機能が著しく発達する時期です。自分の体を使って、飛んだり跳ねたり回ったりすることで、体の動かし方を学んでいく時期です。また、体の動きを利用して、何かを表現することに面白みを見出す時期でもあります。
そんな時期にぴったりなのは”From Head to Toe" (by Eric Carle)日本語版(「できるかな?あたまからつまさきまで」)も出ていますね。タイトルの通り、頭からつま先までを使って様々な動物になりきって遊びます。絵本は、座って読むだけが楽しみ方ではありません。体を動かしたり、表現遊びのきっかけにしてほしいと思います。
青幻舎から出版されている「Big book うらしまたろう」「Big book おおきなかぶ」(作・藤本真央)もおすすめです。英語と日本語の両方の表記があります。こちらはとても変わった本で、なんと大きな一枚のポスターのような作りで、大きく広げると、本物のウミガメや大きなカブと同じサイズの絵が現れます。カメの上にのって、また大きなカブを引いて、物語を体感できる画期的な絵本です。文字は多めですが、子どもたちから歓声が上がるのは間違いなし。
じっと座って絵本を読めないのなら、いっそのこと逆手にとってしまえばいいと思います。思い切り体を動かせる絵本を選びましょう。
4.想像力を刺激する本を選ぶ
この時期は「次どうなるかを予想する」「自分ならどうするか想像する」といったことができるようになり、また、それを楽しむことができるようになります。
そんな時期の子どもにおすすめなのが、"Shh! We have a plan"(by Chris Haughton)です。「しーっ!静かに!」と言われて、息をのんで聞いているうちに物語にすっかり飲み込まれるような絵本。大人の前でも読み聞かせをしたことがありますが、大人でも夢中になって聞く人が多いですよ。日本語版は「しーっ!ひみつのさくせん」の題で出版されています。
参加型で「次どうなるの!?」とドキドキするのが”Press here" (by Herve Tullet)。この本はネタバレになるので詳細は何も書きませんが、世界的にベストセラーになった新感覚の絵本です。「まるまるまるのほん」の邦題で谷川俊太郎さんの訳がついた日本語にも出版されていますが、(なんとも贅沢)原作の英語でもぜひ一度読んでみてもらいたい一冊。想像力が激しく刺激されます。
”Shark in the park" (by Nich Sharratt)も幼稚園前から楽しめる本ですが、最後のオチの面白さを味わえるのは私の経験では、4歳ごろからです。(かなり個人的な統計ですが。(笑))最後のページの絵を見て想像力を働かせることで、これまでのストーリーとの矛盾に気づきニヤリと笑えるのは、やはり発達段階において、これぐらいの年齢なんですね。これもネタバレになるのでこれ以上は説明しません。気になる方は自分で読んでみてくださいね。
最後に紹介するのは「ねずみくんのちょっき」の英語版”Little Mouse's Red Vest"(by Yoshio Naka, John Moore)なんとCD付きが出版されています。日本語の原作を読んだ方なら、英語版も読みやすいと思います。同じセリフの繰り返しになっています。このお話も、「次どうなる?!」と子どもたちの想像力を刺激するストーリーですね。
今は動画の時代と言われています。個人でも気軽に動画を投稿したり、見たりできる便利な時代になりました。
子供向けのアニメーションや動画コンテンツも星の数ほどあり、もちろん良質なものもたくさんあります。
でも絵本でこそ育てられる力もあります。それはページとページの間を自分の想像力で埋める力です。この先どうなるの?この絵からこの絵になるには間に何が起きてるの?それを自分の頭の中で映像化するから、絵本は楽しいのです。
考える暇も与えずに、どんどん次の映像を繰り出す動画。これを見続けるのは、かなり受動的な行為と言えるでしょう。
一方で、じっくり物語を味わい、脳内で映像化して楽しむ絵本。絵本を読んで想像することは、極めて能動的な行為です。
子どもたちには、英語・日本語問わず、たくさんの絵本に親しみ、想像力を育んでほしいなぁと願っています。
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